2023年12月10日に徳島県美波町で開催された「伝統文化・伝統芸能サミットin日和佐」において、当社はインターネットライブ配信を実施しました。激しい動きの「楽車」や「ちょうさ」を複数の無線カメラで追い、たくさんのソースをKAIROSに集めてリッチな映像をつくり、YouTube LIVEで世界中に発信しました。
日本各地に今も残る伝統的な“祭り”。地域ごとに独自の様式の祭りが長年にわたり継承されてきており、その町のコミュニティを支え、観光客の目を楽しませます。しかし、産業構造の変化や人口減少によって消え去った祭りも多く、祭りは存続の危機に瀕しているのです。
そんな課題に取り組んでいるのが、日本の祭文化の活性化を事業とする一般社団法人明日襷が株式会社エフアイシーシーとともに推進する「祭エンジン」という取り組み。 シーマは、祭エンジンが企画して四国の右下観光局と共に開催した「伝統文化・伝統芸能サミットin日和佐」の趣旨に共感し、開催者側も当社がライブ配信を実現できることを知って、今回当社にご依頼いただきました。
ライブ配信の中心となった祭りは、2台の楽車(だんじり)を猛スピードで正面からぶつける海生八幡神社の「けんか楽車」と、筏のように組まれた担ぎ棒が特徴である日和佐八幡神社の「ちょうさ」。
当社は、祭りのライブ配信で重要なことは大きく三つあると考えます。
一つ目は、祭りの迫力を臨場感高く伝えること。そのためにはカメラが自由に、スピーディに動き回れる必要があります。当社は今回、業務用カメラ2台とジンバルに装着したスマートフォン1台を映像伝送システムとWi-Fiの2系統で無線接続し、現場の楽車やちょうさにグッと迫った映像を撮影しKAIROSに送るシステムを組み、運用しました。
カメラの上に映像伝送システムの送信機(4本アンテナが付いた機器)を装着し、離れた場所に設置した受信機で受け、有線でKAIROSまで引き込みました。スマートフォンの映像は、長距離無線LANを用いてWi-Fi環境を構築し(白い板が送受信機、白い筒が発信機)、無線接続でKAIROSに送りました。
二つ目は、配信を途切れさせないこと。
祭りは、インターネットや電力が脆弱な環境で行われることが多く、ライブ配信しようとしても本番に失敗するケースが後を断ちません。当社はインターネット環境と電力供給の調査を事前に現地で行い、確実に美しい映像を配信できるシステムを構築することで、一度も途切れない配信を成功させました。
事前に現地に赴き綿密な調査を行い、万全の収録・配信システムを構築しました。万が一無線が途切れても確実にカバーできるよう有線のネットワークカメラを設置しました。
三つ目は、祭りファンを長時間にわたり満足させる演出。
今回は解説席を設け、祭エンジンの伊藤様にMCを、現地観光協会のかめたろう様に解説を依頼しました。時にはゲストも招いて、祭りやサミットの様子をリアルタイムで熱く語っていただきました。また、KAIROSを使い、用意したVTRやテロップを6台のカメラ映像とミックスし、テレビ放送に近いリッチな演出を短時間・低予算で実現しました。
解説席は2台のカメラで撮影し、祭りの現場から送られてくる無線接続カメラの映像や、事前に用意しておいた各種素材をKAIROSでミックスし、祭りファンも楽しめる番組に仕上げました。KAIROSを核としたシステムは1台のワンボックスカーにコンパクトに納め、4人のオペレーターがカメラの遠隔操作からスイッチング、素材出し、音響、配信までを車の中で行いました。
日和佐ちょうさ保存会
大城 健志 様
自分たちでライブ配信することも考えましたが、祭の当日にスタッフが確保出来ないし、専門業者に依頼するとかなりの費用がかかるだろうと思い、現実的ではないと思っていました。
シーマさんの配信は、無線カメラを使った様々なアングルからの映像が臨場感にあふれ、見応えバツグンでした。実況、解説も分かりやすく、祭に参加している人の話が聞けるのも良かったです。
一般社団法人四国の右下観光局
事務局長 藤井 康弘 様
四国の右下エリア(徳島県南部)においては携帯会社の電波状況が安定しておらず、過去に何回かライブ配信を実施してみましたがほとんどのエリアでは通信が滞る状態となり、このサミットも配信の実施は困難と考えていました。今回、シーマさんにライブ配信をお願いしたところ、準備の時間が不十分だったため一部音声や画質が乱れる場面もありましたが、配信は良好に実施してもらえました。今後も、山間部や海岸線など既存の通信回線がないエリアでのライブ中継を期待しています。
祭エンジン
代表 宮田 宣也 様
コロナ禍において、各地で祭のライブ配信が試みられましたが、祭の魅力を伝える新たな手段として可能性を感じさせる一方、課題も多いと感じていました。資金面や、ネット接続などの技術面が大きな壁となりますが、特に番組の「内容」について、もっと良い形があるのでは無いかと思っていました。
今回のシーマさんのライブ中継は、(我々祭エンジンのクルーの祭関係者との関係性を活かして)祭の参加者に登場してもらって話を聞くパートを取り入れたり、複数カメラで至近距離から撮影したりすることで、祭との距離感が近い、見学者目線でなく担ぎ手目線の、従来のライブ中継とはかなり質の異なるものになったと思います。また、解説ブースを設け、地域の方が中心となって解説を行うことで、祭のもつ魅力をかなり引き出すことが出来ました。
このような、祭の魅力がより伝わるライブ配信の実現を、引き続き期待しています。
今回のライブ配信は当社にとって、厳しい環境で如何に「確実にリッチな配信ができるか」のチャレンジでした。課題の発見もあり改善すべきことが明確になった一方で、想像以上に良い配信ができ、お客様にライブ配信を提供する自信も深まりました。
シーマでは、ライブ配信を含めKAIROSによる映像ソリューションを今後もさらにレベルアップし提供してまいります。関心を持たれた方はお気軽にお声がけください。
お問合せフォーム︓https://www.cima-net.co.jp/contact
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KAIROS使⽤事例
パナソニック ホールディングス株式会社様 第116回定時株主総会︓https://www.cima-net.co.jp/case-study/event/15242
企業式典︓https://www.cima-net.co.jp/case-study/event/12007
第27回 全国⾦⿂すくい選⼿権⼤会︓https://www.cima-net.co.jp/case-study/event/13578
IGAS2022モリサワブース︓https://www.cima-net.co.jp/case-study/event/14363
TEDxKyoto 2023︓https://www.cima-net.co.jp/case-study/event/14648
公式ホームページ
祭エンジン︓https://matsuriengine.com/
株式会社エフアイシーシー︓https://www.ficc.jp/
美波町観光協会︓https://www.minamikankou.jp
⽇和佐⼋幡神社︓https://hiwasahachiman.com/
四国の右下観光局︓https://shikokunomigishita.jp/index.html
徳島県南メディアネットワーク︓https://www.kennan.tv/
⽇和佐うみがめ博物館カレッタ︓https://caretta.town.minami.lg.jp/
ソネット株式会社︓https://www.sonet.jp/
シーマ KAIROS/CONNECT⾞ 掲載記事
Panasonic様 KAIROS事例︓https://connect.panasonic.com/jp-ja/case-studies/cima
ITmediaNEWS「ライブ配信特化の“ネット中継⾞” テレビ局でもないのに作った⼤阪の会社を訪ねてみた」︓https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2302/15/news130.html